(単なる感想のたれ流しなので長いです)
この間、Facebookでリスキリングの記事に年配の人が文句をたらたら言っているのを見て思ったことがあります。
数多くのリスキリングについて50歳代、60歳代の人の意見でよく見かけるものをいくつかあげてみると「世の中の変化に応じてスキルを付ける必要があるのだから、会社が主導するべき」「もう数年で定年なんだから、過去の会社への貢献を評価してそっとしておいてほしい」「なにを学べばいいのかわからない」「安い給料から新たに学んで稼げるところに移りたい」
これを読んでいる人はどう感じているでしょうか?私はすべてにネガティブ意見です。私の考え方です。
そもそもリスキリングに対する不満の原因は「学ぶことは苦痛」「なにをすればいいかわからない」「会社はどう考えているのか」という3つが大きいのではないかなぁ。
学ぶことが嫌いな日本人サラリーマンは多いですよね。経験主義。OJTをいう単純作業を教えるトレーニングが万能だと思い込んでしまい、学生時代の成績の悪さから逃げたいのでしょう。(個人的にはほとんどの教師がだらしないから日本中が勉強嫌いになったと思う)
そんな考え方をしているから新しい技術についていけず、ラクな古い技術に固執して能力の低下を招くわけです。私、60歳代ですが自分より年下で「Excelがわからない」とか恥ずかしげもなくいうサラリーマンをみたら「怠け者」としか思いません。
サラリーマンは学び続けなければ、今いる会社での価値はわかりませんが、労働市場では価値が下がります。
なにを学べばいいのかわからないという意見はものすごくゴーマンかバカなんだと思います。
理由は「学べばなんでも取得できる」という思い込みがあるから「なにを学べばいいの?」という意見が出てしまいます。ちょっとでも自分のスキルの棚卸しをすれば、今の自分が学べる範囲なんて限定的なことに気づきます。自分の能力を過信しているのか、自分がもっているスキルがあるのかないのか理解していないから、こんな意見になるのです。同じようなスキルをもっている人間が多数いる市場でどのように優位性を確保するつもりなのでしょうか。
日本では確かにリスキリングについて「会社が業務の変革に伴い従業員に新たな教育を施す」なんて書いているものが多いですが、それは社畜となることです。あなたはどこにあるのでしょうか?その会社にずっと居座りたいと思うのも無理はないです。
しかし大企業の人事は、文句ばかりいう高齢の従業員をリスキリングしてどうなるかわからない結果を待つよりは、退職金をはずんでリストラに走るのです。
(もちろん少子化の時代ですからあとから望むような人は集まらず、しまったとなるに決まってますが、多くの会社の人事部は過去の経験しか考えないのでやってしまうのです)
リスキリングって簡単じゃない
もしあなたが図面を作る人で図学といものを大学や高専で学んだのであれば、定規とペンで図を作成することも、CADを使うこともそれほどの違いはありません。そもそもCADソフトだって専門家の需要に応じて変化してきたのですから。
しかし、なにも知らない人が「CADが扱えると高い報酬をもらええるらしい」と勉強を始めたらあっという間に挫折すると思います。
私が何十年もいるIT業界だって、私はメインフレーム時代から業界を見続けていて新しいものが出ても少しずつ学んでいって積み重ねているから、いまでも新しい考え方でプログラムを書けるのです。
もし、40歳代くらいでマネージャーだ管理職だといって技術を追いかけることを止めていたら今の自分はありませんでした。
その経験から今の若いエンジニアは大変だと思います。ここからは専門用語の羅列になります。ちょっと前からイマドキの技術の羅列です。(わからない方は「終わり」までジャンプ)
Webアプリケーションを例にとります。数年前まではMVCフレームワークが神でした。Laravelの愛好者は今でも多く、Ruby on Railsを使う人も多数です。
しかし、最近はMVCフレームワークは崩壊しています。理由は軽んじられていたV(View ビュー)の復讐だと思っています。「ワンページアプリ」ってわかりますかね?ゲームのようにサーバーから見れば1ページなのですがJavascriptでDOMを書き換えていく。先日もAIと一緒になってアプリを作りましたが、Javascriptで書いてサーバーからのデータはfetchでアクセスしもらうデータ形式はjsonです。画面ではありません。つまりサーバーサイドのプログラム(PHPでもJavaでもいいんだけど)はHTMLではなくjsonデータを送るだけです。HTMLはテンプレートです。MVCフレームワークのVとCの制御はブラウザー側がやっているのです。
この変化に基づいて新たなフレームワークが出てくるでしょう(Reactは複雑すぎて評価していません)
いくら一生懸命LaravelやCakeやRuby on Railsを覚えたとしても、それは捨てなければならない時がきているのです。この古い技術を捨てるということができないエンジニアは脱落していきます。かつ、必要に応じて古いMVCフレームワークも学ばなければならないから、若いエンジニアは大変だと言っているのです。
以上、終わり
例をあげただけでも「イマドキの技術を覚えることは簡単ではない。歴史上の理由から作られたものが多い」「イマドキの技術の賞味期限は早い。10年以下である」「しかし古いもののメンテナンスは避けられないので古い技術も知らないでは済まされない」ことがわかります。
はっきりいっておきますが、
数ヶ月のリスキリング程度で高い報酬をもらえるような仕事はIT業界にもありません
過去数十年、報酬をもらってきたサラリーマンの経験の上に新たなアップデートを加えていくことこそがリスキリングだと思います。
Linuxの流派
Linuxには「ディストリビューション」という流派があります。
もともとはLinuxをパッケージングし、アップデートしていくメンテナンスプロジェクトからスタートしたもので、現在は二大潮流のみが残ってると言っても過言ではありません。デビアン(Debian)系とレッドハット(RedHat)系です。前者はオープンソースで後者は営利企業です。オープンソースの世界の正しい成長を見る思いです。なにごとにも「責任を取ってくれる」会社を必要とする脆弱な日本企業のIT部門のおかげでRedHatは大儲けしています。
ディストリビューションはメンテナンスパッケージの上に成立しているので流派の見分け方は簡単で、メンテナンスする時にyumで始まるコマンドを要求するのがRedHatとその系列。aptで始まるコマンドを要求するのがDebian系です。
Debian系は多くのディストリビューションの亜流を持っています。もっとも大きいディストリビューションはUbuntuです。メンテナンスはDebianにまかせ、OSとして必要なものを取り揃えたパッケージとなっていて、現在のデファクトと言ってもいいのではないでしょうか。ここまでできたのには理由があって、UbuntuはCanonical(カノニカルとよく呼ばれている)社が運営しているのですが、南アフリカの大富豪が立ち上げ潤沢な資金のもと開発してきたからです。
ところが雑誌ではいろんな小規模Linuxディストリビューションが紹介されます。Mint OS, Zorin OS,FunOSなどなど。これらのOSの謳い文句はほとんどが「Windowsからの乗り換えが簡単です」だけ。例外的なのはブラックハッカーご愛用のKali Lunixくらいでしょうか。
たしかにWindows XPに似たデスクトップ画面はユーザーにLinuxについての知識をあまり要求せず、違和感も少ないかもしれません。その口当たりのよさのかわりに、Linuxでなければできないことを封印してしまっていると言ってもいいでしょう。
Ubuntuを導入してWindows風のカスタマイズをするパッケージ(Gnome拡張機能をいれるとか apt install gnome-shell-extension-manager)を入れたほうがマシです。
たとえば、雑誌で推奨する小規模OSのほとんどはコマンドライン(クロ画面)を嫌います。しかしLinuxはすべての管理業務のための画面が揃えられていません。WindowsやMacはすべてについてGUIが取り揃えられていますが、それは全体を一社が考え、分担して各機能を作っているからなせる技であり、Linuxのように各々のコンポーネントを得意な人が作りまとめると、どうしてもGUIのコンポーネントをすべて提供することは難しいのです。
言い換えるとLinuxでコマンドライン・インターフェースは避けられないといえますし、シェルスクリプトなどで作業をまとめてやらせることも可能なのです。
つまり「Windowsからの乗り換えが簡単」と言いながらWindowsほどの充実はしていないし、Linuxとしても十分使えるわけではない。Linuxを深く知る学びの機会もない、という中途半端な存在であり、インストールしてもすぐ消すことになり、Ubuntuになってしまうのです。
これってリスキリングに似ていませんか? 中途半端に新しいものに手を出すと時間の無駄にしかならない。「Windowsから簡単に」と学習をケチるせいで、後々困ったことになるということです。
恩師
2025年5月31日に中学校の恩師の米寿のお祝い会をするという話でした。その故郷は私の家から飛行機の距離です。出かけて楽しい時間を過ごせたのですが、驚くことに先生は88歳でもピンピンしており、百姓をやり教育関係の仕事や地域の神社の活動に積極的にかかわられていおります。注連縄にはもち米の茎のほうが柔らかいから作りやすい。米はもちろん餅にして奉納する、と神事にはもち米が大事な役割をすることも教えてもらいました。何歳になっても学びはあるものです。
その先生が長くがんばれる秘訣として「好奇心をもつこと」「行動すること」を教えてくれました。昼食が終わってベンチでの雑談の中なのですが、人生で大事なことを学ぶタイミングってたいていこういう時のような気がします。