ジョブ理論に始めて遭遇したのは、このブログの記事によると2017年のようです。
ジョブ理論の本は当然読みましたが、著者のクリステンセン教授が亡くなってからも、この理論はマーケティングの有力理論として生き続けています。
だんだんエッセンスがあちこちに記載されているため、理解がラクになりました。
例えばジョブ理論に基づいて商品のマーケティング(商品の企画、機能、売り方)を考える場合、
「顧客が何に困っていて、なぜ買うべきなのか」というストーリー
を考えねばならないということです。
これはお客が意識していないところまで考えるということです。
しばしば「お客さんに教えてもらった」などというバカな経営者やマーケッターがいますが、それではイノベーションは起こし得ません。せいぜいヒットくらいでしょう。
あいかわらず、営業に商品を押し付けて「売ってこい」しかいわない会社は多いようです。
そういう会社の営業は悲しいことに「売るためにはお客を騙さなきゃいけない」と思っています。
その商品はいったいどういう理由で、なぜ生まれて来たのでしょうか?テキトーに「売れそうだから」で作られたのでしょうか?
そういう商品もあると思います。二番煎じ、三番煎じの。
それでも最初の商品はお客の問題を解決し、「雇われる」に足る目的があったはずです。
それを求めているお客もいるのです。
にもかかわらず、なーんも経営陣は考えずにただ「売ってこい」じゃぁ、ビッグモーターの社員のように客や損保会社を騙す行為に走ります。あたりまえ。
経営者の怠慢です。すぐにブラック企業になります。それでもインフレで人件費が払えなくなり倒産するでしょう。当たり前。
今は商品は営業だけじゃなく、企画や製造などすべての部門をふくめて考えて作って売る時代です。
そんなことも知らなければ、アジアの企業に淘汰されて当たり前です。
なぜ全社あげて考えなければいけないかというと、
「なにを買えば解決するなのか」の答えはお客だって知らないからです。
「顧客が困っていること」は3種類に分類できるといいます。
- 機能的なジョブ
腹が減ったから、食べ物というような話です。 - 社会的なジョブ
周囲から「◯◯だとみられたい」という話です。しばしばこのブログでも考えますが、人は思っている以上に自分をどう見られたいか、どのグループに属していると見られたいか、気にしています。 - 感情的なジョブ
自分が「◯◯だと感じたい」という話です。これはしばしば「欲望」と言われますね。もちろんマイナスな話もふくまれます。「ヤツを蹴落としたい」だって感情的なジョブです。
困っていることを解決するために、お客は次のステップを取るといいます。
- 準備
ジョブを意識します - 情報収集
口コミ、事例なども調査します - 準備
選んだ解決策が妥当か考え始めます - 確認
その解決策が導入されたらどうなるかを想像したり、お財布を確認したりします。 - 実行
ついに購買に至ります。 - モニター
あれこれ試します。 - 修正
その解決策を放り出すことをふくめ、改善してみたり、習慣を変えてつかいつづけたりします - 完遂
継続購入します
しばしばジョブ理論ではマックシェークの例が出てきます。
マックシェーク自体にはまったく変化がなく、大きさを変えるだけで、よりお客のジョブの解決に繋がっていることが、お客のストーリーを知る必要がある点だと思います。
現実、とくに流通業はモノを作りませんから、メーカーの言うお客のジョブと製品の解決策を繰り返しているに過ぎません。
そのため多くの店、ECサイトはメーカーの用意した写真とマーケティング記事を並べ、結局は価格競争しかやっていないところがほとんどではないでしょうか。
よくある比較サイトの最大の泣き所は「長期間使ったらどうなるか?」ということに答える暇もなければ、借りてきた商品を使い続けるわけにもいきません。
一方で百貨店が廃れた理由のひとつは、「バイヤー」と称する人々がお客のストーリーをガン無視して自分達の「プロとしての目」とかいうわけのわからん基準に固執したせいだと思います。
商品紹介だけでも、プロの目だけでも、一概にお客の購入プロセスを助けているとは言えないということです。
だから、意外にジョブをかかえた人が注目するのは、「メーカーの用意したマーケティング記事」からこぼれ落ちた中の人がなにを考えて作ったか、ではないでしょうか。
個人的な話ですが、最近、自家用車の買い替えを検討しました。
その時、まったくテレビで宣伝を見ないトヨタ自動車がネットではものすごく饒舌なことに気づきました。トヨタイムズ
その隙間を埋めるように、テレビではスバルが狂ったように宣伝してますね。
やはり最先端のマーケティングは変わりつつあるようです。
個人的見解ですが、スバルも日本車らしい耐久性という意味では私は疑問をもってます。