起業

トヨタ自動車と豊田章男氏

ここ数日、自分の認識を反省しています。

大きく変わったトヨタ自動車についてです。
2000年ごろ、仕事で行っていた、トヨタ自動車の三河安城の本社では、まったくいい思い出がありませんでした。
一言でいうとトヨタの社員は「傲慢」でした。自分たちの基準が絶対に正しい。他はバカ。
銀行すらやらない、ないものを持ってこい、という要求。「ああ、こうやって下請けを苛め抜いているんだな」と感じました。
外資系の私達から見たら、大事なお客さんだけれどもひとつのお客の事例。
二度とトヨタ自動車社員と仕事をしないと心に誓ったのでした。

しかし、
豊田章男の覚悟
を読んで驚きました。

豊田章男氏があの奇妙なトヨタらしくない会社GAZOOを作って育て上げた人だったとは。
しかもGAZOOである理由はトヨタ自動車社内に「インターネットなんぞにトヨタの名前を使うなんて許さん」という老人達のいじわるの結果だったらしい。

豊田家の人間ということで苦労知らずのボンボンかと思ったら逆にスーパーエリート(自らレールをひいて、上り詰めていく人)でした。

本を読むのがめんどくさい人はYoutubeの次のふたつで概要がわかります。

そして、車作りをスバルやマツダに学びに行ったという事実に驚きました。 あのゴーマンな三河安城の豊田藩の田舎侍だったトヨタはどこに行ったのでしょうか?

今、自動車をめぐる環境は激動です。
多くの人は自動運転というキーワードで認識されているようでしょうけれども、このテーマは想像以上に大きいことにお気づきでしょうか?

実は自動運転はインターネットと密接に関係しています。2018年のこの記事を見てください。(クアルコム、自動運転やコネクトカー向け5Gネットワークのテスト結果を発表…MWC2018
もう10年近く、無線通信デバイスの王者クアルコムは車のインターネット用のデバイスの開発を進めてきたのです。

安全に車を運転させるには、車の状況を逐一サーバーに送る必要があります。車単体の判断だけでは難しいのです。
だからこそ5G通信は自動運転には必須なのです。
トヨタ 一社で「俺が、俺が」と言って車を作れる時代はたしかに終わっています。
トヨタ自動車がオープン戦略を取ることは必然で正しい動きです。

また、車を取り巻く環境は厳しいものがあります。砂漠のど真ん中、積雪の多い地域、ありとあらゆる場所で安全に移動できる手段でなければなりません。

同時にSDGsの観点も重要な側面です。もはや内燃機関だけを使い続けることは難しいし、制御を簡単にするためにEVになるとは思います。トヨタ自動車のあれこれな模索は正しい試みだと思います。

常々書いていますが、カイゼンでは足りないイノベーションを前にした時にはなにが正解かわかりません。
とにかくやってみて、ダメなら他の手を試すしかないのです。なんにでも正解を最初から求める日本人には難しいのがイノベーションです。できる人間はとても限られます。

だから合議制でなんとなく無難な線にまとめる経営陣ではダメで、独断、いいかえると独自の目線で決めていく経営陣でなければ生き残ることは難しいと思います。
残念ながら日本ではそういう人は酷評されます。
「和を以て貴しとなす」とは現実よりも参加者のプライドが大事ということです。
ビジネスでは残念なことに、みんながいいと思うことこそ不正解であることのほうが多いのです。

車がとてつもない変化をし、日本の産業構造が変わることが予想される今、トヨタ自動車が豊田章男氏というカリスマ経営者をもっていることは、本当に運がいいと思います。

今、これといった伸びる産業がない
日本は自動車とその周辺のロボットが主要産業にならざるを得ない
と思います。
車は移動するロボットと捉えたほうが正しくないでしょうか?

また、トヨタグループが、いまだに豊田家綱領を大事にする日本企業であることはこれからアイデンティティとして重要になると思います。

▼豊田綱領
一、上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし
一、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし
一、華美を戒め、質実剛健たるべし
一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし
一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし

なぜ、ソニーやパナソニックは創業者が大事にしていた思いを捨て去ってしまったのでしょうか。
ダサいと思ったのでしょうか。その程度の経営者にしか恵まれなかったことは不幸でした。
グローバルで仕事をしていたら自分のアイデンティティ、譲れない価値観が鍵となることに気づくものなのですが。

トヨタ自動車は日本の将来の大きい部分を担っています。

私はトヨタ自動車と仕事をするには年を取りすぎました。
今、トヨタ自動車の株はとても高いですが、今年か来年のうちに株価が一時的に暴落すると思いますので、その時にすかさず買って応援しようと思います。

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