起業

株式投機についての別の考え方(1)

2021年1月の終わりにアメリカの株式市場で変わったことが起きました。
以下、すべてアメリカで起きた話です。

ゲーム販売会社ゲームストップの株価が年初からいきなり1500%以上に急騰した。
この会社の業績は赤字。
最初に空売りを仕掛けたのは、ヘッジファンドのメルビン・キャピタル。
ご存知のように空売りは証券会社から株を借りて売る。一定期日後には株を買い戻す義務がある。
だから空売りを仕掛けて、その後、値下がりした株を買いもどすことで儲ける。
つまり、タイムリミットがある。

株価を押しあげたのは証券アプリ・ロビンフッドの利用者である素人の個人投資家達。
彼らは
SNSのRedditで声を掛け合い、ゲームストップの株を大量に買った。
ヘッジファンドはゲームストップの安い値段の株を得ることができなくなった。
時間がきてしまい、損切りのための手じまいをし、数十億ドルの損失を被った。

以上、

以下は私の妄想なので信じないでください。。。

 

巷のニュースは金融関係者が書いているため個人投資家がSNSで集って株を買った行為をあたかも悪い行為のように口をそろえて書いています。

しかし、その態度自体が重大な業界の秘密を語っているようです。

考えてみましょう。投資信託、証券会社、保険会社、銀行などには株式を自己売買(自分のカネで売り買いして儲ける)している部門がありますね。
ここの人々が毎日、株式市場を眺めていて個人投資家と同じような売り買いをしますかね?
なぜならば彼らは以下の点で個人投資家より恵まれています。

  • 専業なので時間はいくらでもある。いくらでも凝ったことができる。
  • 資本金は当然、大きい。先のヘッジファンドのように一度くらい大穴あけても平気。
  • 株式取引手数料は無料だと考えていい程度。
  • 企業の基礎的な情報はアナリストからもらい放題。場合によっては直接、インタビューすらできる。
  • 逆に上の事件のように、ニュースに好きなように色付けできる。

とりあえずHigh Frequency Transactionを考慮しなくても、昔からこれくらいの利点があるのです。
しかしながら、制約もあります。

  • 有価証券報告書のために、四半期ごとに利益を出さないとアウト
  • 企業情報があったところで、「波にのら」なければ全然株価に反映されない。
  • 何万円なんていうせこい金額では買えない。
  • 株主優待は関係ない

と考えると、機関投資家は、一定の規模で、知名度があり、なにかのニュースで煽りやすい企業の株を一年以内の仕込みで儲けようと考えるのではないでしょうか。そして空売りは基本的には避けると思います。(失敗したら損が計算しずらい。)

すると、株式市場を見ていて奇妙なこともわかってきます。
そもそも安い値段の株でもダラダラと売買が続く。
これ、おかしくないですか?
売買ゼロの日が続いてもおかしくないのに。誰が買うんでしょうね。
もし、機関投資家が「仕入れている」ならば説明がつきます。
その機関投資家が単数なのか複数なのかは問いません。安い時にせっせと仕入れる。
(こういうことを自分だけではなく、他企業と相談しながらやっているから、上の素人が集まって株を買ったことに脅威を感じたのではないですかね?)

その後、ニュースで「火がつき」ます。
株ってニュースで火がつくこともあれば、つかないこともあり、以前から疑問だったのです。

さらにおかしいのは火がついてお祭り騒ぎが起きた後、ぱったりと値下がりしていく。
もしニュースが真実ならば、値上がりしたら元に戻るのではなく、一定の水準で高止まりするはずですよね。
ニュースで火がついて、過剰なまでに反応するのがいつものパターンで、高いところで買った人が損をし、「損切り」しなくてはいけなくなるほど下がります。

よく「市場はその情報を織り込んでいる」と報道されますが、この言葉自体がなにを言っているのか?
おそらく「市場に参加している人全員が知っていて、価格がその情報を含んで妥当だ」と言いたいのでしょう。
それって本当ですか?市場に参加している人が全員知っているなんてありえるのか。
しかも株価が元に戻ってしまっているのであれば、囃し立てたニュースは無価値でした、ということであり、同じ騒ぎを繰り返しているということになります。
おかしくないですか?

わかりやすくいうならば、株や相場って「不特定多数の人が同じような条件で売買している」場ではなく、

安い時に仕込んで、ニュースにより高くなったところで売るストーリーを作っている機関投資家と、
ファンダメンタルだテクニカルだでその場、その場で踊って株を買って損している素人
ふたつの集団で成り立っているのではないでしょうか。

そもそも株式評論家が言うもっともらしい話しはさっぱり的中しないどころか、読者に高値掴みさせていますよね。
彼らは誰からお金もらっているのでしょうか?
普通のシャンプーや洗剤と手法は同じですね。

「市場が折り込み済み」って機関投資家のほうを指していませんかね?

もちろんすべての株が同じ仕組みで値動きしているとは思いません。
配当がいいから、株主優待がいいから、応援したいから、メチャメチャ儲かっているから高い値段の株もあります。

一方で機関投資家とされる上記の人々は各社貸借対照表上、必ず利益をあげています。
なにを売買したかは秘密中の秘密らしいです。
相場が本当にわからないものであれば、そんなところに投資する企業はバカです。
ビジネスリスクが高すぎます。儲かる目処があるからやっているに決まっているじゃないですか。

この話は私のオリジナルではありません。
出来高・価格分析の完全ガイド ──100年以上不変の「市場の内側」をトレードに生かす

に書かれている考え方です。
読んで放置していたのですが、上のアメリカで起きた事件で思い出しました。

この話はカネを生む話なので、もう少し考えてみようと思います。

もし、これが陰謀論に読めているあなたがいるとしたら、普段から読んでいるものをもう少し考えたほうがいいです。
低俗なものばかり読んでいると、そちらに考えが引っ張られています。
私が言いたいことは「合法的な仕手戦」です。
冒頭に書いたヘッジファンドが空売りを仕掛けた話しを思い出してください。これは合法です。

蛇足ですが、会社や事業を経営した経験がある人はROIなどという数字がいかに意味をもたないかわかると思います。
若いころの私も「企業の財務」って結構気にしていたんですが、いざ自分が事業の経験をもつとそんなものに意味がないことがよくわりました。
つまりファンダメンタルをビジネス経験がない人が見ても意味がないのです。しかもみんなが見ている情報は「市場に価格は折り込み済」ですから意味がないのです。
ウォーレン・バフェットが言っている言葉は正しいですが、彼は物言う株主ですから、企業を改善することもできたのです。そのままマネしても儲かりません。

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