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「木村岳史の極言暴論!」がまったく暴論じゃない理由

日経コンピューターに木村岳史という有名な編集者がいて、ちょっとだけ過激な意見を連載されておられる。

まとめて読みたいなと思っていたら、ここに索引がありました

若い人も中堅もおじさんも読破されることをお勧めします。

なぜ彼の意見のほとんどが正しいかという理由を説明します。

長年、IT産業にたずさわっているとひとつの原則が見えてきます。それは、

経済的でないことは、やがて淘汰される

何度もこの原則にはずれるんじゃないか、と思うことがありました。

  • IBMのメインフレーム、SNAは消え去った。1997年ごろ「TCP/IPしか残らない」と言ったらIBM社内で「SNAがなくなるわけないだろーが」とバカにされたものだった。現在のあなた、SNAってなにかわかります?
  • OS/2が消え去った。Windows95のエミュレーションができなかったことが最大の理由だと思う。OS/2のネイティブプログラミングは個人でできるものじゃなかった。
  • Lotus Notesが消え去り、Outlookが残った時。同様にLotus 1-2-3が消え去りExcelが残ったこと
  • オンプレミス(自社でサーバー立てて、ソフトウェアを動かすこと)が、プライベートクラウドという嘘の期間を終了し、ASPがクラウドと名前を変え勃興してきたこと。
    損するのは誰か少しだけ考えてみよう。既存のハードウェア売ってるベンダー、SIと称してバグだらけのシステムを開発する連中である。
  • 大手ベンダーやお客の偉いさんを飲ませて抱かせて接待していた零細「エンジニアと称する素人貸し企業」がどんどん潰れたか、虫の息。
    それが正しい道だと言い切っていたバカ経営陣を笑ってやりたい。
  • 一昔前は、中堅零細企業の現場でも平気で「ウチのやり方は独特だから、パッケージなんて絶対に無理」とか言ってたけど、そういう頑固なジジイが職場から消えた。
    次世代の人々はあっさり「勘定奉行でいいんじゃね?」という。
  • 最強のセキュリティは回線を繋がないことだと豪語し、いくらでも保守にカネを使っていたが、さすがに1000倍くらい違う保守費の前ではなにもいえなくなりつつある。怠慢は悪なのである。
  • クラウドいやいやもアメリカでCIAがアマゾンAWSを使っていると聞いてさすがに黙る。
  • Fintechが銀行員を消し去りそうだ
  • ChatGPTが自称「AIの専門家」をリストラする

どれだけその時の勢力が強くても、10年かかってでも、やがては経済的である方向に行くのです。
もっともビジネスチャンスに変えるには「それがいつか」であることが重要ですが。

木村さんの描く今の日本のIT産業の矛盾は経済という面から見るとおかしなことばかりなのです。
もちろんいつもいつもカネカネ言ってろということではありません。
向いている方向性の問題です。
木村さんは現象に力をいれて描写されていますが、背後にある考えは経済性なのです。

その観点から推測すると、従来型のシステム開発は早くて5年、遅くて10年後にはなくなります。

木村さんは5年とおっしゃっています。(最近、10年とおっしゃるようになりました)
理由はクラウドサービスの出現と事業の変革です。

どういうことかというと、大企業であればあるほど従来の事務処理基幹系に大金を払うことを極力やめる。
給料の低下は同時に、言いたい放題の社員の淘汰につながっています。日本企業にとって、この点はいいことです。
クラウドサービスに仕事の仕方をあわせることで、費用を低減する。
その資金を事業部で行うデジタル化に回すということです。

事業のデジタル化は外資系IT会社に身をおいているとよくわかります。
社内ではそれしか言っていません。アメリカやヨーロッパ、一部は中国でガンガン進んでいますから日本でもだんだん盛んになるでしょう。そうしないと、海外企業とも接続できずにバカにされます。

マイクロソフトもSAPも役所などと事業創出をしています。
同様のことをNTTデータやTISなども試みています。

言い換えると大きなベンダーは事業部の第二IT部門として活躍しているのです。
これがこれからの新しいビジネス形態です。

人月計算の労力がかかるほどうれしいローテクバグ開発会社はIT部門という間接部門と共に用事はなくなります。

既存のIT部門はクラウド移行を命じられて縮小されます。残ったPCと回線の管理ならNTTにまかせておけば十分です。
いままで自分たちで技術の追求も構築力ももたずに事務屋と化し、経営陣を素人扱いして抵抗し続けて、御用聞きITベンダーの言うとおりにしてきたツケがドンと回ってくるのです。

「SEは永遠だ」とおっしゃって40年前の呑気なメインフレーム時代の知識を振り回して、はずれた組織論を唱えていた馬場史郎さんはいい時に引退しましたねぇ。
本当にトレンドを無視して若者をミスリードしていて腹がたちました。

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