いやいや私が言っているのではなく、週刊ダイヤモンドの特集です。
買っちゃった。
常々おかしいと思っていたことが「やっぱりね」だった。
- マイナス金利で収益の悪さが露呈してきた、と。
(マイナス金利は新しい預け入れにだけなんだけどね) - 給料は払わない、と。
- 若手が入行しても見限るか、ウツ状態になる、と。
- 社会的地位は低下した、と。
- 企業時価総額はダダ落ちだ、と。
- そもそも銀行にカネ借りるバカはいない、と。
- ただ、オメデタイ学生の間では就職人気がある、と。
フィンテックベンチャー首脳90人アンケートがおもしろい。
銀行からフィンテックでなくなる仕事上位8種類、
- 銀行個人向け営業->営業店はいらないじゃん
- 保険外交員->今でも枕営業代表業種みたいにいわれてるくらい厳しい
- 個人向け証券営業->そりゃ、今でも胡散臭すぎだろ
- 銀行窓口業務->扱う金額に差をつけてATMと無理やり差をつけてるだけだもんな
- 融資審査担当->評価項目に点数つけて、一丁あがり、なんてスマホでもできる
- ファイナンシャルプランナー ->どうする?資格マニア。確かにそんなもんより情報収集力だわ
- ディーラー トレーダー -> 確かに人手でやってるのは時代遅れもいいとこ
- アクチュアリー -> 保険の料率決める人だけど、コンピュータが計算するわね
これらの兆候は都銀だけじゃなく、地銀にも広まっているということです。
産業ない、オカネもない地域で威張ってみても話にならない、
すでに経済的には巨大都市がハブで道州制だ、ということです。これはおもしろい観点だと思います。
ここまで書いていても頑固な人は「そんなん前から言われてるじゃん」と思うでしょう。
週刊ダイヤモンドもわかっているらしく「四代花型職業のトホホな現実」という記事を差し込んでいます。
要約すると、
- プライベートバンカー -> パナマ文書で手口がダダ漏れ。富裕層は様子見。
- 為替ディーラー -> 人手は時代遅れ
- アナリスト -> インサイダー情報は禁止され、思考力が必要となってきて多くは脱落
- 外資金融エリート -> 東京市場地位低下でリストラの嵐絶好調
つまり偉そうにしていた人々も、実情は情報を隠蔽することで濡れ手に粟の商売だったということです。
そこに研鑽したノウハウがあったものではないということ。
それが白日にさらけ出され、かつ、私の業界のコンピューターがいつものように暴利を貪る人間を叩き出しているのはよいことだと思います。
詳細が気になる方は雑誌買って読んでみてください。
私事ですが、私が最初に行ったお客さんは1980年代の安田生命でした。
高田馬場の事務センターは4時に終了で、女子社員がキャピキャピ言いながら定時退社していました。
事務の女子新入社員でボーナスが100万円だという話でした。(本当のことは確かめようもない)
そういう女子社員と反対方向に事務センターに向かい、トボトボと重いパッチのテープを持って運んでいた若き能なし文系出身SEが私でした。
その後、社内システムテストで昼夜逆転の日々が数年続きました。夜明けの5時に高速レーザープリンター3800からものすごい勢いで吐き出されるダンプの紙を見ながら「俺の将来、どうなるんだろ?」とさみしかったことを覚えています。
仕事をマジメにやり、適当にやる若者の中で浮いていた、いや嫌われていた時代でした。
一方で、銀座を飲み歩くなんて俺には一生ないよな、と卑下していた時代でした。
今のIBMの人間は知らないでしょうけれど、私の時代は厳しく「野鴨になれ」と言われ、そのとおりだと感じ、野鴨になるべく(どこでも食べていけるべく)あらゆる仕事をしました。
いっぽうで時代はまったく想像もしない変化をしました。オタクのおもちゃのはずのコンピューターがそこいら中に出回り、電車の中でシステムという言葉を普通に聞く時代になりました。
「エクセルができる」という安い言葉で能力を差別すらする時代になりました。
あらゆる産業からコピー係、お茶くみ係、事務作業、ワープロ係、受付窓口、という仕事を人からコンピュータに移したのがIT産業でした。
代わりといえるかどうかわかりませんが、派遣、キャバクラという市場が新たに誕生しました。
そしてついに知性がいるとされた仕事をコンピューターに移す時代が来ました。
それが金融から始まるというのはとてもおもしろいことだと思います。
上にフィンテックが亡くなる業種としてあげた人々は、「そんな簡単なものじゃない」と言うと思います。
でも、それは消えた業種の人々が昔から唱えたさっぱり効き目のない呪文です。
作業に邁進するあまり、「作業ができる私=仕事ができる私、と勘違い」しているのです。
過去に消えた職業と同じです。
没個性的な仕事こそ、どれだけ複雑に見えようがコンピューターに移しやすいのです。