この言葉を知ったのはずいぶん前だし、ひどいなぁと思っている。なぜならば相場の必勝法だから。
タイトルのシステムはどういうものかというと、株式市場をやっているデータセンターの近隣(少なくともLANで届く範囲)に自社のサーバーを置いてプログラム売買をすることをいう。
日本経済新聞によると、
アメリカで「バーチュ・ファイナンシャル」という投資会社がこれをやっていて上場しようとしたらしい。上場目論見書に5年やってて負け越した日は1日だけだという。
もっとショックな情報は東京市場でも売買代金の40%がこのシステムらしい。
私はこれはフェアではないと思う。
歴史上の話をしたい。
ナポレオンがワーテルローの戦いをやっているさなか、イギリス国債の取引所にひとりの男がいた。名前をネイサン・ロスチャイルドという。当時すでに有名な投資家であった彼はワーテルローからロンドンまで狼煙(のろし)と飛脚による勝敗の情報をつかむ伝達ラインを独自で用意していた。政府その他が馬で情報を伝えるよりほぼ一日早く状況を知ることができた。
ロスチャイルドは国債を買いまくり大儲けしたという。
この話でわかるとおり、情報伝達が早いと先んじて儲けることができる。
高速株取引でいうと、株が上がり始めたらシステムは即座に買い始め、少し上がれば売る。トレンドフォローをしまくる。
普通の人は株価のトレンドが逆転したところが儲かると思うかもしれない。大雑把にいえば、みんなが株が高いと思ったところで空売りする、とか、みんなが株が安いと思ったところで買う、とか。
しかしそれでは取引するチャンスは少ない。それよりも一回の儲けは少なくても少しの値動きでたくさん取引をして儲ければいい、というコンピュータならではの取引方法がある。
上の話がコンピュータの置き場所が取引所の近くの超高速取引とどいういう関係があるのか?
簡単にいえば、回線の遅れの問題である。LANと回線をロスチャイルドの狼煙伝達と政府の馬だと考えてみてほしい。
一般の我々の使う光回線はNTTやKDDIの電話局から一般家庭に届く。その間にいくつものルーター、リピーターをとおる。結果的に数十ミリから百ミリ秒の遅れがでる。
元回線業者だからいうが、これは光の速度という物理制約がある以上避けられない。距離があるとそれなりにかかるのである。決して回線業者がいじわるをしているのではない。
一方、取引所近くだと回線の遅れは数ミリ秒に限りなく近い。この数十ミリ秒の差が決定的となる。コンピューターはナノ秒の単位で動作する。
したがって、いちはやくトレンドを見つけ他の素人がフォローする前にさっさと買うことができる。
以前からHFTはフェアじゃない、と思っていた。
しかし取り締まるのは至難の技だと思う。
日経に戻ると日本取引所グループのエライさんが「HFTの拡大で東証はようやく世界と伍する売買量に復活した」というが、限りなくダーティな取引で復活することには違和感ありまくりだ。
さらに言うならば、取引所グループが一般投資家なんぞ眼中にないってことがあらためてわかった。