サラリーマンのふり

拠りどころ、裏切り、死

2013年の冬は早々に残った休暇取得に入っています。平たく言うと、「表芸の営業は本年、終了しました」
外資系ではご多分に漏れず、会計基準は国際会計基準です。
したがって、従業員の有給休暇(有給とは誰かが払ってるんだよ!)は企業の流動負債として計上されています。
それもあって、休暇の取得が奨励されるのです。
よく、バカンスがーとか、合理性ーとか、労働者の権利がーとか、言ってますが、外人のほうがえげつないのでちゃんと縛りはあるのですよ。

このことは、外資系に努めていても、なんも考えていない人間は知らないですね。
というのも外資系に勤務していた、している人が本書いていても、この縛りについて書いてあるものを見たことがなく、同様に文化論に根拠を持ってきているから。

きっと、国際会計基準が広まってもう少し管理職の知識が増えれば、日本の貧困な有給消化事情も変わるのではないかと期待しております。

さて、いつも思うのですが、会社というものに多くの人は勝手に虚像を見て期待し、勝手に失望しているように思えます。
「せめて正社員になりたい」
という言葉を朝日新聞は派遣労働者に言わせています。

しかし、日本の場合、社員とは会社の要望に応じてなんでもする立場だということがわかっているのかな、と思います。
工場からいきなり営業へなることも不思議じゃない。(亡くなった私の父はそうでした。)
派遣は派遣会社が一応がっちり管理していますから、こんなことはありえない。

社員が「安定している」なんていうのも、悪い冗談です。
誰もが知る電気メーカーが左前になってリストラしていますよね。
多くの人は、そんなことは自分に起こらないと根拠なく社員の世界に楽園を見ます。

どうしてこんなことが起きるのかというと、私は各々の人が自分のことを真剣に考えないからだと思います。
いや、考えていたとしても、勝手に考える範囲を決めてしまいます。

いまだにひとつの会社の中で社内競争とやらに勝ち抜いたら生きていけると思い込んでいる人もいます。
その人は会社の業績は外的要素で決まるし、企業が成長するファクターは偶然にすぎないということすら考えていませんでした。
いつも書いているように、儲からない大企業で死ぬような思いをした給料と、儲かっている中小企業の事務職ではどちらが給料、ボーナスがいいかは明らかなのです。

自分で勝手に考える範囲を決めていると、次に起きることは予想外の出来事です。
この時に人は「仕方がなかった」「組織に裏切られた」などと自分の責任ではない言い訳を始めます。

もしくは、虚像にしがみついて死ぬほど働きます。幸いにして死ねば残された人々も救われますが、重度の障害を残したままだと残された人々は新たな課題を背負うことになります。
でも、その負荷はもともとは、死ぬほど働いた人が選んだことだったことから目を背けてはいけないでしょう。

考えぬくということは、自分に不都合なことも遠慮会釈なく分析することです。

人は誰もが弱い存在です。なにかの考えにしがみつかないと生きていけないです。
なにも考えていないという人でも、自分の中に矛盾しない考えをもって生きています。

ただ、その考え方以外にも別の考え方がある、例えば社畜となるより派遣のほうがいいのかも知れない、という別の考えを自分の中に存在させておくことは必要ではないでしょうか。

ひとつのしがみついている考えが役に立たなかったら、存在する術もない、では悲しすぎます。

大きな話では「日本人とは」ということにも同様の考え方を見ることがあります。
いわく、
「日本人は恥を知る」
「日本人は組織のためには己を虚しくできる」
「日本人は礼節を知る」
「日本人は清貧、質素を尊ぶ」
「日本人は細かい技術をつきつめる」

これだけだと大層立派で、なんとなく大和魂をくすぐられ、どこまでもついて行きたくなります。
が、流行らなくなった理由はそのネガティブな側面にあるわけで、

「恥を知るから本音と建前を使い分け、責任回避ばかりする」(新聞を見たら明らか)
「己を虚しくしても、ずっと報われないで踏み台にされているとキレる。」(結局は自分のためでしょ?)
「礼節は場所により違う。敬語の異様な言語体系はすでに世界からすると異端」(例えば最近急増している「させていただきます」って異様な敬語です。考えてみてください。)
「清貧、質素でフラストレーションがたまり、陰で本音のサブカルチャーがめちゃくちゃに発達する」(コミケとか,坊主の幼稚園経営とか)
「細かい差は寛容だが、大きな差には不寛容。パイオニアを斬り殺し、成果だけをちゃっかり着服」(ブルーLEDとか)

ネガティブな側面もしっかり目を開いて見てこそ、道を誤らないというものです。

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