とあるビジネス系出版社が180日間で40万円以上でリーダーシップをつけるトレーニングコースを募集しています。
こんな感じのカリキュラム(宣伝メールから転載)
【問題発見力】本質に迫り、真の問題を見つける
【リーダシップ1】現場力を高め、チームの成果を最大化する
【リーダシップ2】チームのビジョンづくりとメンバーの動機付け
【問題解決1】最適解を導く創造的発想力を鍛える
【問題解決2】具体的で実現可能な計画を策定する
【交渉(ネゴシエーション)】合理的なロジックで快諾を得る
【経営戦略的思考と実践力】必要不可欠な経営感覚を身に付ける
【キャリア視点&最終発表会】成長する組織を支えるキャリア観
これをみたら、どんな感じがしますかね?なるほど、これはスキルアップしそうだ、と思う人は起業に向いてないと思います。
私がこれを見て思ったことは、大組織の中で優秀なサラリーマンを作るコースで、起業にはまったく役に立たないな、ということです。
というのも、
1. 起業にかぎらず、小規模でビジネスする時に欠点、問題点を探すとキリがないんです。すべては利益が解決します。つまり強みを徹底的に伸ばすことで、弱点を カバーするのが起業なんです。かつての吉野家が牛丼しか売っていないけれど、牛丼が磨きぬかれたものだから勝てたのです。
2. チームで決める、ってことを起業でやってはいけません。建築のデザインとかシステムのデザインをアーキテクチャといいますが、アーキテクチャは話し合って はいけないタイプのものなんです。ひとりの人が例え独善的であろうとも、首尾一貫したものを考え実行しなければ、かならずちぐはぐさがでてきます。客観的 によいものは、さっぱり売れないのです。とんがったところがあるからお客がつくのです。話し合うということは、そのトゲを抜くということです。
チームで決めたりするから、新しい問題を作り出していることすらあります。起業においては、Appleのかつてのジョブズと同じに考えましょう。いい話し合いができても会社は潰れます。
3.もし、問題があった時に解決する方法は、必ず拙速でOKです。よく考え、ベストな回答なんて起業にはいらないです。時間はお金、解決策がカネがかかる ものなら、二次、三次の付け焼刃的なもので十分です。ビル・ゲイツが形もなかったMS-DOSをIBMに売りつけたことを思い出してください。
4.本当に自分のカネでビジネスすれば、サラリーマンがいう経営感覚なんて10倍以上の速度で身につきます。そもそも他人のカネでしか働いたことない人間 が経営感覚なんて持てるはずがありません。創業者社長とサラリーマン社長のしぶとさの差はそこです。創業者社長のほぼ全員が、自分の生命保険を担保に入れ ています。それだけでもカネを命の代償と思うか、資金という記号で遊ぶのか、感覚が違うのです。
今日、なんでこんなこと書いているかというと、上のようなまがい物のセミナーはとても多く、起業しようかという人が不安になってカネ払ってしまうような愚を犯さないかを心配したのです。
40万円あったら、有価証券報告書を見て、自分の判断で株買ってみてください。そのほうが、はるかに、はるかに、ビジネススキルが身につきます。
40万円あったら、半月でいいので人を雇ってみてください。そのほうが、はるかに、はるかに、経営ってものがわかります。
40万円あったら、やろうと思っていた仕入れをやってみてください。いくらで、どうやれば売れたでしょうか。
サラリーマンに仕事の仕方を習うくらいなら、市場に習いましょう!