雑感(日記)

自然破壊が起きるワケ

科学の進歩には両面がある。

産業革命はイギリスで蒸気機関の発明から起きたという。
蒸気機関が普及しはじめたのはジェームズ・ワットが復水器を発明したからだというが、その普及の過程で石炭の燃えカスはできただろう。
人によっては大量に燃焼すると植物が作り出す酸素が消費されることに考えが至ったかもしれない。
しかし、誰も石炭の燃えカスが問題だとか、酸素が減るなんて考えずに、どんどん蒸気機関を作ったことだろう。
もちろん製作した連中も使っている連中も燃えカスの片付けにカネを払うなんてことはしなかったろう。

日本では公害という形がわかりやすいかもしれない。
足尾銅山鉱毒事件では、鉱山の精錬から出る廃棄煙で酸性雨が降り、銅山周辺はハゲ山となった。
土地は酸性化し、山がいまも崩落を続ける。
住民も生活環境が丸裸になった。
精錬技術はあれど、そこからでる廃棄物の処理にはまるで無頓着で川に流したのだ。

水俣でチッソ水俣工場による工業排水が原因で水俣病が発生した。
これは現在も尾をひいていて、当時、水俣病を取材しつづけたユージン・スミス氏が受けた暴力などをジョニー・デップが映画 “MINAMATA”にしているが、水俣市はこれを認めないようだ。
チッソという会社は液晶、保存料、保湿剤、化学肥料、合成樹脂などを作っているが、その代償として得られたカドミウム入り廃棄物を川に流したのであった。

さらに始末に負えないのが原子力発電だ。
核反応の結果得られる、放射能レベルの高い廃棄物は溶かしたガラスと混ぜ合わせ、固めて「ガラス固化体」にする。これは廃棄場所がない。
そのくせ「原発がもっとも安価に電力を得られる」という計算には廃棄のコストが含まれていないのだ。

マイクロプラスチックだってそうだろう。大量にテキトーにプラスチックを作りプラスチック製品を使うのはいいが、簡単に廃棄する。一見無害だったプラスチックは小さい断片になることで環境をおびやかしている。

このように歴史を見ていると、人類は科学の発展と共になにかを作りだす。
しかしそこからでる廃棄物には無頓着であることをいまだに繰り返している。

作り出したものをできるだけ大量に消費するという人類社会は、廃棄物というものを管理しないで社会の目に見えないところに封じ込めている。

しかしそれは必ず人類に牙をむいてくると予想する。

我々は今、新型コロナウィルスという自然の脅威にさらされ、生活や社会のあり方が大きく変わりつつある。
目に見えない存在がちょっと変異を起こしただけでこの騒ぎだ。
生態系のバランスを崩すことがなにを人類にもたらすのか? なにごともなしでは済まないと思う。
驚くような因果関係が起きるのだろう。

そうでなくても、日本で首都圏において大地震が起きることは確実だろう。
国土交通省のホームページによれば首都圏大地震が今後30年以内に発生する確立は70%なのだそうだ。

その後、復興すると考えられるだろうか?

たとえば熱海市で大規模土石流が発生し、道路などが大きく破損している。
あれの復旧はどれくらいかかるだろうか?
多くの人が「復旧期間=工事期間」と考えているようだが間違いだ。
市の財源で工期は決まる。
人口の少ない地方では税収が少ないから道路修理にお金を回すのもタイヘンなのだ。
あの土石流は人災だろうけれども、自然災害の形になると金額に換算するのも愚かな規模となる。

日本はすでに1100兆円程度の借金がある。
すでにコロナ騒ぎでさらに借金をしている。
さらに復興費用となるとどうなるのだろうか?
しかも少子化で税金を払う人は少なくなっていく。

日本人が海外に離脱する時は意外に早いのかもしれない。
トリガーは日本企業の没落より先に、大規模自然災害かもしれない。

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