雑感(日記)

アメリカの住宅競売問題

最近、こんな記事を見かける。

「住宅差し押さえめぐる訴訟、住宅市場に「大きな打撃」=米FDIC総裁」

これの意味わかりますか?私は田中宇さんの有料メルマガを読むまで意味がわかりませんでした。
田中さんの解説によると、発端は驚くようなアメリカの土地売買の話です。アメリカの州政府には当然ながら土地の登記所はありますが、その登記内容についてなんの保証もしていないのだそうです。当然、土地の所有をめぐる詐欺事件が多発します。そこで、アメリカでは1995年(つい、この間)に金融機関がお金を出し合って「抵当電子登録システム」(MERS、Mortgage Electronic Registration Systems)を作り、土地の債券を管理しはじめたというのです。これ、民間の会社ですが、いまや60%くらいが管理されているそうです。

家を買う人が家を担保に借金をして家を買うということは、その家は債権化されています。この債権を束ねて銀行は転売してしまったわけです。いわゆるジャンクボンドのひとつですが。

そうすると、誰が債権者かわからないのです。債券はそのまま流通せずに分割されたりしています。
今、差し押さえして競売しようとしているのは銀行ですが、家の所有者は「銀行は債権を転売したのだから、債権者じゃないだろ!」といっており、裁判所は当然、それを認めます。そうすると、分割された債券のどれが誰の債務かなんて、判別不能です。

なんだか、ひとり一個もっていたパチンコ玉を集めてガラガラポンしたら、もう元の持ち主はわからない、といってるような感じですね。

債権者がはっきりしなければ、目下のところ、債務者は返済の義務はないわけです。ましてや明らかに競売しようとしている銀行に債権はない。だから大騒ぎ!
アメリカって意外なところで、大穴が空いている国ですね。

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