サラリーマンのふり

三陽商会の失敗に見るブランドの本質

バーバリーを失った三陽商会の業績がさっぱりあがらないらしい。

最近はなにをしているかというと「マッキントッシュロンドン」というブランドを立ち上げて売ろうとしているようだ。

「マッキントッシュ」自体は(アップルのPCではなく)、ゴム引きのレインコートとして有名だが、「マッキントッシュロンドン」は日本で三陽商会がでっちあげたブランドのようだ。

今時だから本家のマッキントッシュには断りは入れているだろうが、三陽商会製のコートをこの名前で10万円以上で売ろうという作戦が意味不明だ。

このインターネットの発達した時代に、まがい物をらしい名前で売る戦略って企画した奴は脳みそが昭和なんだと思う。

なぜこのようにこき下ろすかというと、

ブランドには絶対に伝説が必要

なのである。

腕時計が最もわかりやすい。

”第一次世界大戦の始まったころ、腕時計はまだこの世になかった。
そこで兵士は懐中時計を腕にくくりつけて使っていた。”

こういう話を今はブランド好きの女がするのである。

”ロレックスは腕時計界に3つの革命を起こした。ひとつは自動巻き、ひとつはカレンダー機能、ひとつはオイスターケース。”

という話を時計の内部のことはまったく知らん素人が話すのである。

ゼロハリバートンのカバンがアポロ宇宙船で月の石を持ち帰るのに使われた、とか、カバンの利便性とはまったく無関係であるけれども伝説がないとブランドにはならない。

どのブランドも品質を裏付ける伝説が必要であり、購入者は伝説にカネ払っているのである。

ひるがえって「マッキントッシュロンドン」を見てみると、日本で昨年でっちあげた商品になんの伝説もあるわけがない。

スーパーに売っているコートと大差ないものを銀座で売ってるから10万円以上ください、は、インターネットでなんでも買える今時、どうしようもない甘い考えといわざるをえない。

おもしろいのは、三陽商会という今までバーバーリーというブランドを扱って、それで食べていた会社でもこういう間違いをやらかすのである。

いかに「その道のプロ」とか「この道20年」なんて言葉がアテにならないかわかる。

問題意識も持たずにぼけっと仕事をしていた人間はなにも学習しておらず、数ヶ月でも真剣に仕事をしている人間に負けるのがビジネスというものです。

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