「いい子症候群」って言葉を最近、知りました。
小さいころから親に逆らったことがない子供。
親のいうことをハイハイと聞き、親からすると自慢の子供です。
しかしそういう子供は将来、絶対に困ります。
友達といる時に「おまえ、どうする?」と言われても意見がない。
ご飯食べにいっても「なにが食べたいか?」も決められない。
彼女や彼氏を作るという決断もできない。
いや、子供のころから友達は親の推薦する相手だけ。
こういう親が押し付ける価値観は世間で立派な社畜になるためのものです。
上の意見は絶対、おまえが考える必要はない、学校は偏差値重視、やりたいことなんかでメシが食えるか。
今、巷で草食系男子と言われている人々もひょっとしたら「いい子症候群」が含まれているかもしれない。
このような「いい子」は昔から、私が子供のころから、いました。
でも、学問することに向かない子にも、大学に行かせたがる親を考えると絶賛増殖中なんでしょうね。
そしてこのような人が社会にでると、どうなるか?
一見いい人です。
他人とぶつかるなんてことないです。
空気を読むことは得意で、常にサイレント・マジョリティです。
就活でも人を見る目のないサラリーマン採用者にはウケがいいでしょう。
なにしろ期待どおりの反応をすることは得意ですから。
しかし、会社などで「もう少し待遇を改善してもらおう」などと同僚、組合で話をしていても、一人、会社側に内通したり、組合を裏切ります。
なんせ子供のころから、「上のいうことをきけ」と刷り込まれていますから、本人には罪の意識はありません。
強者の言うことが正しいと刷り込まれています。
会社が傾いたり、新しいことをするときにはどこかに去ります。
結果が出れば、また戻ってきます。
自分がなにしたいかわからないのに、リスクを取れるはずもありません。
かくして組織は崩壊します。
一見、いい人なので周囲も犯人に気付きません。
今の日本社会全体で起きている正規雇用と非正規雇用というふたとおりの待遇、ひいいてはブラック企業ができるひとつの理由は、結果的に「裏切る人間」がいるからです。
労働組合というものが存在するためには、同じ立場の人が同じ意見で会社に対抗しなければなりません。
そうならず、非正規雇用というものができたということは別の労働論理を受け容れた人が大量にいるということです。
私は今の日本の労働環境は巨大な洗脳の結果だと思っています。
ふたつの労働条件のある根本的なおかしさに気付かない。
一般職が全員アウトソーサーでよいならば、全員、派遣にすればいい?
そうすると責任の所在についてどうなるか。
派遣法の定義からして、派遣は責任をとる必要はないです。
逆に社員なのに、アウトソーサーくらいの働きしかしないで、まったく疑問に思わない人もいる。
とくに派遣から社員にしてもらった人に多く見受けられます。
まったくフェアではありません。おかしさをそのまま受け容れてしまっている。
あなたの周囲をよく見て下さい。
いい人は目立ちませんが、必ず周囲を裏切っています。
あなたがなにかを非難していたら、チクっています。
利他の精神は口だけで、必ず利己的な行動しか取りません。
プライバシーの概念がはなはだ薄いので、恋愛などにおける下半身の話も相手の正体ふくめ、誰彼なくしゃべってしまう。
深く考えたことがないから、行動の結果も想像できない。
自分というものがないですから、他人の価値観でしか動けないのです。
おや、だんだん「東京タラレバ娘」に似てきたぞ。
でも、そういう価値観を教えこんだのは偏差値教育に毒され、目先の利益しか理解できない理念なき親なのです。
子を持つ親として私が理解できないことは、
今の世の中に絶対に正しいことなんてあるわけはないのに、
なぜ子供に自信満々で自分の価値観を押し付けて、多様な個性を潰したのだろうか?
子供を育てれば、小さいころから個性があり「ああ、立派な別の魂の入った人間だ」と感じることはなかったのでしょうか。
私は自分とは違う異質な考えこそ、世界を生き抜いていくためには必要だと思い、
同質の考えだと、大丈夫か?と不安になります。
世界を生き抜いていけるのは、変化に応じてどうとでも変わる種族のみです。