サラリーマンのふり

最後のチャンス

NHKの「NHKスペシャル 戦後70年 ニッポンの肖像 豊かさを求めて「第2回」を見ての忘備録。

起業は誰のものか?という議論がしばしばある。

1.会社は誰のものか?

日本的経営では従業員のモノで、アメリカ的経営では株主のモノというのは違うと思った。

株主が株をどう考えているかにつきる。

大多数の株主はキャピタルゲインしか関心がない。機関投資家だってファンドマネージャーは株の売買で儲けることを要求されていて、企業の中身なんてどうでもいい。

業績が下がったから売るのではなく、株価が下がるから売る。

そういう思い入れや、極端にいえば事業内容を知らない株主が「企業の経営に参画していて尊重されるべき存在」だろうか?

本当はこういう株式市場ありきの考え方ではなく、経営者=株主であるほうが健全なのではないだろうか?

2. 会社と従業員

経団連で日本を代表する企業の経営者が集まって、延々と終身雇用制、つまり企業と従業員のかかわりについて議論したそうだ。

日産自動車、新日本製鐵の経営者達は「終身雇用は従業員と経営者の約束であり、途中で裏切ることは許されない」と言った。

これはこれで立派だと思う。

ソニー、シャープやサンヨーのように経営者の間違いで業績が悪化したにもかかわらず、従業員がリストラという形で責任を取らされるのは間違っている。

サンヨーを潰した元会長井植敏氏は、「リストラをすればできる人間から辞めていく。残った社内はそれは悲惨になる。」と当たり前のことを言っていた。

結局、最初から企業がどういうスタンスで従業員にモノを言っているかに尽きるのだろう。

そういう意味では私が新人のころにいた日本IBMは、私が辞めてから方針変更したので私は害を被っていないという言い方ができるのだろう。

3.発展途上国のスピード

日本は勤勉だからアメリカに1990年代追いついたのは事実だろう。

だから中国や東南アジア諸国が追いつけないわけではない。

製造業に必要な人、技術、カネにおいて、カネはだぶついていてどこからでも流れてくる。人は発展途上国は安い労働力がある、肝心な技術はコンピューターとインターネットにより、ヤル気があれば立ちどころに手に入る時代になっているのが、昔と違う。

この着眼点は大事だと思う。

日本国内でも大企業の技術に追いつくことはワケないのだ。

4.今後の日本と世界

ただ単にモノを作る時代は終わった。

言い換えると部品を作っていてもジリ貧なのは事実。

日本国内は労働人口が減少する。土地は需要がないから下がる。
これは日本が初めて経験することなので、理解できない人が多いが事実。

名目GDPは過去20年あがっていない。

一方、なにかと参考にするアメリカでは労働統計に「高度専門技術サービス」という項目が増えたという。

これは製造業ではない。

たとえばAppleは製造しない。すべて中国で作る。

Googleも製造はしない。が、Androidでわかるとおり製造にかかわる。

そして、すべてはサービス・ソフトウェアとして提供される。

このどちらでもないところを、2.5次産業という。

この変化に乗り遅れないようにする最後のチャンスがここ数年だということだ。

最後の点は要注意だと思う。

日本でも過剰にソフトウェア信仰者が多い。

言い方を変えるとハードウェアを軽んじている人々。

それは間違いだと私は思っている。

 

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