全然リベラルじゃない「リベラル日誌」

僕はあるブログを読んで、あまりの牧歌的な話に心が痛んだ。それは著名上村祐一氏の『ちきりんの「おちゃらけ」は全然笑えない』というエントリーだ。

断っておくけれど、僕は上村さんとは一面識もなく、彼自身を冒涜するつもりも、個人攻撃をするつもりもない。ではなぜここで取りあげるのかと言えば、その内容にあまりにも違和感を覚えるからだ。

経団連の参加者が製造業中心という話と、GDPを示して日本は製造業中心ではない、という話を巧みにすり替える。

「ちきりん」さんがうまく書けなかった点を指摘する。製造業中心の国家は必然的に不況になる。アメリカも日本も同様だ。ここだけは俺が大嫌いなマルクスは鋭いことを言っており、単純労働は、より費用対効果の高い国にシフトしていくため資本主義の圧倒的ミドルは貧困化する、と予言したとおりになっている。

そこに日本は打つ手を見いだせず、デフレスパイラルで貧困者層がグッと増えたのは事実だ。アメリカが同様の道をたどっているのは事実だ。スペインやイタリアやイギリスはとうの昔に歩んだ道である。

大企業の日本の経営者に日本を守ろうなんて意識はない。いったいなにを期待しているのだろうか?愛国心?海外に次々に工場はシフトしたし、ソニーもパナソニックもいつ本社を海外に移設しても、まったく不思議ではない。
どころかオリンパスで明らかになったように、自分さえ、もう少し広げて自社さえよければいいという経営者以外、見たことがない。それが普通のサラリーマンの感覚ではないか?
老害化した経団連の経営者が「日本」を語るだけ唇が寒い。

次に世界の金融市場を見る。上村さんは次の例をあげて、日本は世界二位だという。「08年時点で、世界の株式市場の時価総額は21.2兆ドルで、世界最大の市場は米国であり、時価総額構成比は43.9%、続いて日本が10.8%、ロンドンが7.9%、フランスが4.4%、ドイツが3.6%となっている。さらに。。。」
これ見てヘンに思わないか?そう、中国がない!いまやギリシャにすら金を貸す中国がない。これじゃ、日本が2位の指標を恣意的に引っ張ってきたんじゃないか、と邪推する。

で、こういうのはどうですか?

売買代金 (2010年通年) :世界の証券取引所 ランキングと規模

※単位は10億ドル
1 NYSEユーロネクスト(米国) 17,795
2 ナスダック 12,659
3上海証券取引所 4,496
4 東京証券取引所 3,787
5 深セン証券取引所 3,572
6 ロンドン証券取引所 2,741
7 NYSEユーロネクスト(欧州  2,018
8 ドイツ証券取引所 1,628
9 韓国取引所 1,607
10 香港証券取引所 1,496

はい、もうすぐ深センに抜かされるんじゃないでしょうか?
日本の株式は「持ち合い」のため、値下がりしにくいんですよねー。とてもじゃないが、まともな資本主義ではない。株主の言うこと聞かなくていいもん。だから老害経営者がのさばれるのです。

そして、日本発の投資信託で世界で通用しているものなんて見たことないですねぇ。金融テクノロジーで日本って話題にもならない。いつも、カモ。デリバティブでもどんだけカモられ、ドルをどんだけ抱かされていることか。

こうして考えていくと、ちきりんの述べる、「製造業は日本から出て行け!」、「日本に金融業はいらん!」はあながち暴論ではなく、「製造業は日本から出ていく」し「日本に金融業でめぼしいものはない」が本質だと思う。

私のよく知る電気、半導体産業では、「技術には誰にも負けん」と吠えているうちに液晶、PC、白物家電すべて日本の手からすり抜けていった。私がよく例にあげるが、コンピュータのマザーボードを自社で設計できる会社が、今、日本に何社あるだろうか?

今の日本ほど技術者に敬意が払われていない国はない。評価されない、出世できない、サービス残業は長い。俺のいるIT産業の現場は給料はOLより安い。
これで技術が受け継がれ進化するのを期待するのは、あまりにも牧歌的だ。

ちきりんさんがいう将来が描けない日本と、上村さんのいう製造業で世界に冠たる日本と、どちらが今時の日本なのだろうか。

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